このブログは2017年8月にアップして以来、おかげさまで今でもけっこう人気があるブログです。
内容は育児中のママたちの8割が経験する、「ドゲルバン症候群」という種類の腱鞘炎について書いてあります。
赤ちゃんを抱っこする時に親指にかかる負荷、まだ不安定な首を支える時に、などなど、色々な状況下で育児というのは親指の付け根に負荷をかけ続ける作業でもあるのですが、「ドゲルバン症候群」というのはその親指が炎症を起こしてしまう。とても辛いです。。
今日のお話は、このブログを4年経ったいま書くとどうなるのか?という検証ブログです。
まずは下のリンクの旧ブログからお読みください!
2021年版・『育児中の腱鞘炎・ドケルバン症候群』のリブログ
人間が人間たる所以は、親指を曲げてものを掴むことができる、この一点で我々は人間なのである。
猿は親指を曲げて物を掴むことはできない。
親指以外の4指で木にぶら下がったり棒を持ったりはするけど、バットを握る様に物を握ることはできないのだ。
なぜならば、複数存在する親指を動かす筋肉の中で、長母指伸筋と短母指伸筋の2つは人間にだけ存在している筋肉であり、この2つの筋肉のおかげで親指を自由に動かし文明を発達させて行くことができたからである。ドゲルバン症候群とは、この「短母指伸筋」に起こる腱鞘炎の名称のことである。
しかし人間の原初の姿である赤ちゃんを観察していると、まだうまく親指を使うことができずに物をうまく掴むことができないことがわかる。この時点ではまだ猿と一緒です。物を掴むというのは後天的に獲得していく動きなんだな。
この人間が人間たる所以の根源、文化創生の大元の親指の付け根に痛みが生じてしまう、それを大きく3種類ある腱鞘炎の中の「ドゲルバン症候群」と呼ぶ。
多発する層は、育児中の女性が全体の7割近くを占め、男女比は約75%が女性である。(グラフは日本整形外科学会HPより抜粋。以下同)
その原因は、第一に育児期の抱っこや首から頭を支える反復的な使用法にあるが、そこには女性ホルモンが減少する関係なども加わり多要因であると考えられている。しかし女性ホルモンの減少が影響を及ぼすのは、グラフの通りに更年期以降の女性にも約20%弱程度の発症率でかなり長きにわたり、さしたる原因もないのにドゲルバン症候群に悩まされることからも明らかである。
では予防法はどうすればいいのか?という話だが、
橈屈という動作、手のひらを親指側に曲げる動作をできるだけ避ける、すなわち、抱っこする際も手首をニュートラルな状態で脇に手を入れて肩の三角筋前部、二の腕の上腕二頭筋を使い持ち上げるよにする。最初は腕の使い方、手の使い方に少し戸惑うかもしれませんが、これは慣れの問題ですからすぐに橈屈をしない使い方ができる様になると思います。
育児期以外の更年期以降の女性に対する予防法というのは、はっきりって筋肉を弱らせない筋トレくらいしかないかな。
それでは予防だけでは対処できない状態まで痛みが進んだ場合にはどうすればいいのか?
体の動かしかたの是正などのセルフケアにプラスして、きちんとした治療が必要となります。
一般的な整形外科的な治療法は手術療法か、非手術療法に分かれます。
手術というと怖いですが、あまりにも腫れや炎症がひどく、注射や消炎鎮痛剤の治療薬が効かない重症の場合には、選択肢として有効な治療法です。
そこまでの過程であればステロイド注射と飲み薬と安静で対処する。強烈な抗炎症作用がありますからステロイド注射はかなり効きます。でも気安く打てないし、ステロイドだし、、、、。いちおう3〜4ヶ月に一度、3回までは打てると言われているらしい。
これが一般的な「ドゲルバン症候群」に対する西洋医学的治療法です。
しかし整体療法では全く異なる方法を用いて「ドゲルバン症候群」に対して施術を行なっていきます。
痛みは手首の親指側に生じていますが、整体では手を肩甲骨を含んだ胸郭全体の動きが関連していると考えており、上半身全体という広範囲の領域から整えていきます。胸郭のねじれ、よじれ、可動域の確認から始まり、肩甲骨の位置と動き、肩関節〜上腕骨の骨が巻き込んでいないかなどのチェック、肘関節の状態はどうなのか?そして手首全体の動きと偏りはどうなのか?
まずはその辺りの骨格の変異と動きの状態をチェックし、整えていく。
そして胸郭〜肩甲骨周辺〜肩関節から上腕骨〜肘関節周辺〜手関節周辺の筋肉群、すなわち親指の動きに関連している筋肉群をチェックして、各所に発生していると思われるスパズムと呼ばれる異常収縮を緩めていく。
体は一箇所が壊れると他の部位が順々に歪みながら連鎖を引き起こし、問題が生じている箇所を庇うという性質がある。そしてその歪みは一度生じると自ら元に戻りずらいという性質がある。
よって、いざ壊れた個所が治ろうとしても、壊れた箇所を庇おうとして代償的に発生した歪みが、今度は壊れた箇所の治癒を妨げるというネガティブな作用を生じてしまうのだ。
この様な場合というか、問題が生じた時全般に言えることなのだが、体全身のリセットワークが必要となる。
よって腰から背中、そして肩甲骨のリセットワークを行うだけで親指の動きがいく分楽に動かせるようになるなんていうことが実際に起こる。
そして患部に向かい調整していく。
炎症が起こっている箇所はアンタッチャブル、触ってはいけない。
ドゲルバン症候群が引き起こされている筋肉の、親指より肘関節に近い部分にある起始部、すなわち筋肉の反対側の付け根を調整していく。
かなり軽減することができるのである。
本当に整体療法はドゲルバン症候群をはじめとした腱鞘炎にはとても効果的なリセットワークだと思う。
しかしその楽になった手で、親指を立てて赤ちゃんを抱っこする、、、、
ママは本当に大変だよね。これじゃ治るものも治らない。。
それもこれも母性というある種、狂気に近い本能の成せる技なのですが、我が子のためならなんの躊躇も無く我が身を捧げてしまうという、種の保存になくてはならない母性の存在は厄介ですよ。
まぁとは言っても痛いものは痛いし、できるだけ健やかに過ごせる様に、整体を通じてお手伝いさせていただきます。
次のブログはどうかな、またリブログを書くかもしれませんけど、季節のお話にしようかな。